西本の挑戦。

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私、西本とロシアとの繋がりは、1999年に始まりました。市内のロシア料理店の店主が、一人のロシア人男性を連れて店に買い物に来たんです。そのロシア人男性はフライパンをひとつ、クレジットカードで買っていきました。接客にあたった私は、帰り際に、店で取り扱っている厨房用品一式を掲載した分厚いカタログを手土産に渡したんです。その男性は、ユジノサハリンスクで飲食店やクラブ等を経営する事業家でした。

ロシア連邦のサハリン州州都ユジノサハリンスク市と函館は、1994年4月の国際線定型空路の開設がきっかけで交流が始まり、1997年9月27日に姉妹都市を提携しました。
現在は国際線の定型空路は無くなりましたが、当時、函館空港から約1時間のフライトで到着するもっとも近い海外でした。

その後、そのロシア人男性から、FAX経由でぽつらぽつらと厨房用品の注文が入るようになりました。それからは、厨房用品のみならず、建材やら食品やら、リクエストに応じて可能な限りの物を揃えてロシアへ送りました。そんなやりとりが一年くらい続いたんです。当時、彼は、ユジノサハリンスク市内に日本の回転寿司店をオープンさせたいと、函館に視察に来ていたりもしていました。そのうち「ロシアに来ないか」と誘われ、2001年に初めてロシアへ行きました。そこで来年オープンするという、店の場所に案内されたんです。

その回転寿司店のオープンにあたり、今度は厨房用品のみならず、コンベアーや空調関係の設備、外壁材などオーダーがあり、大きなビジネスの話しになっていきました。私自身、当時、まだ国際的な取引の感覚がなく、正直言うとおそるおそるのスタートでした。
その取引をきっかけに、彼とはその後も、店舗関係の取引のみならず、いろんな仕事を一緒にしました。
当時、サハリンの景気がいい時で、彼はホテルやアパートの経営に事業を拡大していったこともあり、スチール2x4住宅資材や外壁材、内装材、衛生設備など、施設に必要となる備品関係に至る商品まで幅広くオーダーがあったんです。当然、会社としては取扱いのない商品でしたが、そこにニーズがあるならばと可能な限りリクエストに応えました。それは物品のみならず、たとえば建築についての有識者を仲介しロシアにて技術指導をする橋渡しや小麦の輸出と同時にパン職人を派遣したり。気候風土が函館に似ていることもあり、ロードヒーティングシステムをロシアへ紹介したこともありました。ウォーターパール・水景設備、3Dフリーザーに至る重量物も輸出しました。これら一連はすべて会社の業務としてではなく私個人の仕事として動きました。ロシアでの事業は、あくまでも西本個人の仕事、私自身の挑戦のようなものでした。

サハリンの景気が下向いたこともあり、当時のような大きな取引はしてはいませんが、ご縁は今も続いています。

私自身、そもそも海外進出をするなどと大それたことを目指していたわけではありませんでしたが、こうしてフライパンひとつから始まり、日本がアドバンテージを取れるような仕事であれば、弊社のような“街の道具屋”でも、海外との取引が成立するということを実感しました。いや、もしかしたら、小さな企業だからこそフットワーク軽く動け、そのニーズに応えられたのかもしれませんが。

このロシアとの取引を通して感じることは、よくある”海外進出セミナー”などで語られる、マニュアル的なビジネスノウハウは、ビジネスチャンスを逃していることもあるのではないかということです。
たとえば、韓国の会社ならば、ロシアでエレベーターが欲しいと言ったら、まずは製品をすぐに現地に送り込んでその数日後に技術者が来て指導にあたる・・・と、ビジネスが迅速に進みます。一方日本ならば、責任施工、安全保障の取り決めなどの規制が多すぎて、慎重な構えから始まります。
今のビジネスは「契約書」が主体で、人の繋がりではない気がします。もっとシンプルに、製品が欲しい人、製品を売りたい人に、開かれたビジネスのシーンが増えていけば、日本の経済はもう少し動くんじゃないかと思うんです。

私の場合は、地元の飲食店であってもロシアの会社であっても「契約書」というものを一切交さず、顔の見える関係の中での取引が主体で、ここまでやってきました。この時代で考えると、ある意味、独自路線だと思います。
でもたとえば、タイルの発注の際に、色番号を間違いがあったとします。でもそれを許せる関係、お互いに許しあうことができる関係性が作れたならば取引はトラブルなく進みます。責任を押し付けることなく、いい意味の曖昧さを持てる関係であれば、契約書は必要ないと私は思っています。
「契約書」という書類一枚のことでがんじがらめになったとしたら、やりとりがにぶくなりますし、ほんとうに必要なニーズを見逃してしまうんじゃないかとも思っています。

インターネットを通して、”安く速くモノが買える”時代ですが、でもそんな時代だからこそ、私自身は、いかにお客様と「末永く、いいお付き合いが出来るか」と考えます。
私、つまり東海商事は、これからも“街の道具屋”として「飲食店の商売繁盛を一緒に考えたい」と思っていますし、そのために、可能な限りリクエストには応じたいと思っています。「西本から買ってください、かならず損はさせません」と言いたいです。ある意味、時代に逆行しているかのような、そんな挑戦を続けています。

—2017年8月/記

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